「投資信託の」と言っていますが、投資信託はもちろん、株、債券、FX、先物、原油、金、不動産、穀物 etc
価格が変動する資産全てに言えます。
そして、リスクを理解するということは、世の中のお金の流れを理解するということです。
これは、投資の情報収集の際には欠かせない知識です。
まずは、ざっくりで構いませんので、概要を掴んでください。
リスクの正しい解釈
僕らにとってリスクとは、元本が割れること。
これ以外ありません。
資産価値が減らなければまずは安心していられます。
ですが、投資の世界では少し解釈の仕方が違います。
リスクとは、「ブレ幅が大きい」ことです。
ブレ幅が大きくなりがちな資産のことをリスク資産と言ったりします。
水色線、赤線のような投資資産があったとします。
どちらも、投資元本も同じ、運用結果も同じです。
- 水色線:リスクが低い
- 赤線:リスクが高い
しかし、途中の変動幅を見ると赤線の方が、ブレ幅が大きいです。
水色線の方は安定しています。
リスク管理、リスクコントロールとは、このブレ幅を小さくすることを言います。
価格変動リスク
投資信託で言う、価格変動の「価格」のことは「基準価格」のことになります。
その基準価格が、購入した金額より下がっていき、投資信託そのモノの価値が下がっていくリスクです。
投資信託だけではなく、すべての金融商品のリスクは、つまるところこの価格変動リスクのことです。
そして、この価格の変動に影響を与えている主な要因が以下の3つです。
価格変動要因1:為替
為替ヘッジでリスクコントロール
投資信託が外貨建てじゃなくても為替リスクはあります。
投資信託にもよりますが、投資信託は通常海外に向けて投資を行っています。
その際、為替の変動によって投資信託の基準価格が変動します。
為替の取引(通貨の売買)は、24時間オンラインで世界中どこでも可能です。
為替市場の取引が、投資信託の基準価格に変動に影響を与えます。
為替リスクをことを「為替ヘッジ」と言い、投資信託の中には、「為替ヘッジあり」か「為替ヘッジなし」か、どちらかを選べる投資信託があります。
投資信託の場合、僕らは実際に取引をしないので、為替をコントロールする術はこれぐらいしかありません。
価格変動要因2:デフォルト
分散投資
デフォルトとは、簡単に言うと「破綻」のことです。
株や債券などを個別で保有している場合、会社や国など債券の発行体が倒産したら、その有価証券の価値は紙切れになってしまいます。
投資信託は、複数の株や債券などが詰め合わせになったパック商品なので、そうしたリスクは分散されていますが完全にリスクをゼロにすることはできません。これを分散投資と言い、リスクコントロールのひとつの手法です。
投資信託は自分で商品を選べますが、その中身については選べません。
為替変動と同様に運用会社に委ねます。
価格変動要因3:金利変動
世の中に最も大きな影響を与える景気対策が金利政策です。
政策金利を使って景気を刺激します。
日銀は、一般銀行にお金を貸すときの金利を調整し、お金の量を調整します(マネタリーベース)。
政策金利は、水道の蛇口のような役目をします。
- 金利を上げる(蛇口を締める):お金が世に出ない
- 金利を下げる(蛇口を緩める):お金が世に出回る
市中に流れたお金は事業拡大や設備投資、在庫投資などに回ります。
また、金利が下がると返済利息も下がるので企業の利益も増えます。
つまり・・・
- 金利を上げる:株価が下がる
- 金利を下げる:株価が上がる
という影響がでます。
こうした動きは、株価だけでなく債券にも影響を与え、為替にも影響を与えます。
回りまわって、投資信託の基準価格にも影響があるわけです。
ここまで主な価格変動要因をご紹介しました。
この他のリスクについても簡単にご紹介します。
流動性リスク
流動性とは売りやすさのことです。
- 流動性がある:売りやすい=買い手がいる
- 流動性がない:売りにくい=買い手がいない
売りたいときに売れないとどういうことが起こるのでしょうか。
特に暴落時など価格が急激に下がり、損失が膨らむのをじっと見ているのは生きた心地がしません。
損失がこれ以上膨らむのを防ぐために売却したいのですが、そうした時に流動性が低いと損失を止めることができません。
流動性の比較
株式 | 投資信託 | 不動産 | |
流動性 | ★★★★★ | ★★★ | ★ |
手続き | リアルタイムでワンクリック | ワンクリックで翌日に売却価格決定 | 価格交渉が必要 |
需給バランンス | 市場規模は大きい(買い手が見つけやすい) | 市場規模は大きい(買い手が見つけやすい) | 売り手も買い手も見つけるのが大変 |
不動産は流動性が低い代表的な資産です。
株式市場では急激な価格変動を抑えるストップ安という機能がありますが、ストップ安になると株式は売れない状況になります。
インフレリスク
インフレとはモノの値段が上がることを言います。
インフレ自体は決してリスクではありません。
経済成長の過程では必ず物価は上がります。
しかし、経済のコントロールは難しいものです。
戦後ドイツのハイパーインフレ
物価は時に、実体経済との連動制を失い、糸の切れた凧のようにコントロール不能になってしまうこともあります。
この予期せぬ急激な物価上昇(インフレリスク)は、僕らの生活の直接影響を与え、経済を混乱に落とし込みます。
インフレはその要因によって大きく3つのタイプがあります。
- モノ不足インフレ
食料危機、原油減産、資源不足 etc - 生産コスト上昇インフレ
作物の不作、原油高騰、円安 etc - 紙幣大量印刷インフレ※1
※1 マネーサプライ(世の中のお金の量)を増やせばインフレが起こるという考え方。
日銀がやってきましたが、バブル以降、デフレの日本においては全く効果が出ていません。
インフレを学ぶ上で、大戦後のドイツのインフレが参考になります。
ドイツのインフレは、モノ不足・生産コスト・紙幣大量印刷、全ての合わせ技タイプでした。
モノ不足インフレ
専門用語:ディマンド・プル・インフレーション
戦時中はそもそもモノが不足します。敗戦したドイツはさらに生産力が落ちモノ不足になりました。
賠償金の支払いが滞り生産性の高い工場地帯を差し押さえられます。
これを機に一気にハイパーインフレが起こります。
生産コスト上昇インフレ
専門用語:コスト・プッシュ・インフレーション
生活に必要な生活必需品や、食品の原料などのいくつかは輸入でしか賄えないものがあります。
貿易には外貨が必要。
しかし、外貨を稼ぐ基幹産業は差押えられ成す術がありません。
こうした状況下で、ドイツの通貨マルクはさらに下落、マルクの国際的な信用は無いに等しくなり、輸入コストさらに増え続けます。
紙幣大量印刷インフレ
専門用語:マネーサプライ増加
お金がないことを背景を理由に、お金を増刷します。
ドイツ国内のお金の量は戦前の2000倍にまで増加しました。
当時のドイツでパンを1個の値段は、なんと1兆マルク。
紙幣の種類も100兆マルク紙幣が発行されるほどでした。
日本のインフレ
戦後、ドイツと同じように財政破綻した日本。戦争には莫大なお金がかかります。敗戦した日本に残ったのはとてつもない額の借金。
それを帳消しにする為に、円を切替ました。
つまり、旧円は使えなくなったんです。
その他の日本のインフレ
- オイルショック
- バブル
近年における他国のインフレ
アルゼンチン / ジンバブエ
通貨下落によるインフレを招いています。
世の中のお金の仕組が見えてきます。この記事もご覧ください。
コメント